一行書評

様々な本のエッセンスを、ずばり一行でまとめています。

ちはやふる 38巻

一行書評
〜自分のどす黒い心と向き合うときに初めて強くなれる〜

 

この巻では、名人位・クイーン位挑戦者決定戦第1戦と、第2戦の序盤が描かれています。

 

37巻のラストで、小学生の頃のように髪を短く切ってきた太一。
髪が短い方がまつげの長さが目立ち、女の子っぽく見える不思議。
小学生編ではあまり感じませんでしたが、まさに「まつげ君」です。

最初の1枚を先取した時に「やったっ」「へへっ 新 おれ 今日は 勝つよ」と(キモい)無邪気な明るい声を出し、新に揺さぶりをかけます。

 

そのほかにも、周防名人と「おれが勝ったらおれの言うことひとつだけ聞いてください」と約束を取り付け、新に、太一が自分を通過点としてみている可能性に気づかせます。
同時に、自分も太一を一段下に見ていて、太一を通過点としてみていることを気づかせます。
これは、自分の傲慢さに無自覚だった新に、自分の黒い心に気づかせ、心が黒く侵食されていきます。

 

周防名人のかるたを取り入れて新を揺さぶる太一。
やがて新も、かるたで太一を見下していたこと、太一が邪魔であることを認めます。

第1戦の終盤、勝負を決めかねない1枚でもめて札を手にした新は、試合終了後、太一の取りであったことを知ります。
早く終わりたいと思い、最終的に太一が引いたから取れたものの、審判に決定を委ねなかった自分。

「卑怯なやつやのーー」

太一の髪型とあいまり、小学生の頃の自分が発した言葉が、重くのしかかります。

 

ちはやふるって、ブラックな人がたくさん出てきますよね。
ブラック太一はもはや定着しましたし、千早の対戦相手のももちゃんや、詩暢ちゃんなどなど、分かりやすくドSな須藤さんが今や可愛く思えるほどですw
そんな中、新もブラックの仲☆間☆入り!
もっとも新は、もともと傲慢な人間だったとは思いますけどね〜

 

ともあれこうなってしまうと、”強い人たち”の中では唯一ホワイトなのが、主人公の千早です。
千早は”勝ちたい”と言う気持ちこそ強いですが、心の中のどす黒い思いは今まで描写されてきませんでした。
それは、少女漫画の主人公ということもあったのでしょうが、この流れで行くと、千早が自身の黒い思いと向き合わない限り勝ち進んでいくことは難しいと思うのですが、どうでしょう?

ちはやふる 37巻

一行書評
〜これからの人生の中で、今日が一番若い日〜

 

準決勝の死闘の決着がつき、決勝は順当な結果に。

36巻では千早が新を想っているような水の描写がありましたが、37巻では、かなちゃん家に袴を買いに行く太一達に誘われたのを断った時に、頬を膨らませて、顔を真っ赤にしていました。
あれ?
千早⇒太一?
と思ったら、猪熊さんとかるたの練習をする時に、小学生の頃を回想し、モノローグが。


「会える 会えて そして」


そして? 会うって誰と? 新? 詩暢ちゃん?
小学生の頃の三人を回想しているから、新だよね?
やっぱり新エンドなの?

 

余談だけど、新の家って、なんであんなに貧乏描写なんでしょう?
小学生編では、小学生の新が新聞配達のバイトをしていました。
その後、故郷に戻り、祖父宅で住んでいるので住居費はかからないはずなのに、相変わらず貧乏そう。
両親二人とも非正規? 
それにしても、ご両親揃っていい人そうだし、真面目に働いていそうだし、ギャンブル狂でもなさそうだし(お父さんはちょっと怪しい。。。)、たとえ非正規でも、二人で働いていれば、そこまで貧乏はしないでしょうに。
家賃かからないんだからさあ。

 

それはさておき、この巻でも自己啓発書に負けない名シーンが。

 

新はかるた名人の挑戦者として、大学のAO入試を受けます。
その面接の練習シーン。
「なぜこの大学を受けようと思いましたか?」という質問に対し、自分は5歳から競技かるたを始めたこと、社会科学学部でずっと考えていた問題に取り組みたいことを語ります。

先生も大爆笑していましたが、うん、これ落ちるね。
大学は(企業も)その人が何をしたか、過去の栄光なんて興味がない。
過去にやってきたことを、大学(企業)で、どのように活かしていきたいのかを聞きたいのです。


オンリーワンの部分をオドオドせんと言えるだけやない。
どう社会に還元できるか、しっかり考えてこんかい。


最終的に新は、認知症を患った祖父を起点に、様々な事情のある人もかるたを楽しめる社会という切り口で、社会の構造を変えていきたいと夢を語り、合格を勝ち取ります。


猪熊さんもいいことを言います。

千早と一緒にかるたの練習をする際、

 

大学生や独身の頃の自分は、スーパーカーに乗っていたようなものだった。
今の私は軽自動車。
でも、20年経って振り返ったら、今の35の体さえスーパーカーに見えると思う。
もっと走ればよかったと思うに違いないの。

 

これ、本当によくわかります。
あの時、年齢を理由にして諦めたけど、今思うと全然若いんだから、やっておけばよかった。
そういうことがいくつもあります。
「これからの人生の中で、今日が一番若い日」
至言です。

 

よく、「もっと勉強しておけばよかった」という人っていますよね。
最近思います。「なら、今から勉強すればいいじゃん」って。
過去の自分に全責任をなすりつけ、今勉強しない自分を正当化しているように思えるのです。
今日が一番若いんです。
ちはやふるを読むと、後悔しない生き方をしたいと思います。

  

ちはやふる 36巻

一行書評
〜絶対量を確保したものに 運は引き寄せられる〜

 

沼にハマってきいてみたでかるたが取り上げられていたので、ちはやふるを再読しています。
最近のちはやふるって、哲学的というか、下手な自己啓発本読むよりあらゆることに対するモチベーションが上がるような気がします。

 

名人・クイーン戦東日本戦準決勝
千早×理音
太一×須藤さん
原田先生×美馬
田丸妹×優木さん
という組み合わせです。
新は東日本戦準決勝の組み合わせを見て、頬を紅潮させます。

 

物語の展開からいって、勝者は千早、太一、原田先生、田丸?となると思いますが、そうは簡単に行きません。


勝ち続ける限り祖母である山城今日子読手が読み続けてくれる。
初めて”欲”を持った理音が千早を圧倒し、1対7にまで千早を追い詰めます。

 

太一は、試合前は周防さん仕込みの揺さぶりと作戦で押し気味に進めていたのに、千早の形勢が悪いことに気づいてから調子を崩し、2対6に。
太一は”運が悪い子”だから、このままあっさり負けちゃうかも!?

 

青春全部賭けてきた ー末の これが 絶体絶命ー

 

原田先生は順当に勝ち、西日本でも新が決勝進出を決めます。
机くんはこんな時にも持ち込んでいた世界史の勉強ノートで、その情報を太一と千早に伝えます。
それを見た太一と千早はハッと我に帰ります。

 

賭けてきた絶対量で見れば だれが勝てる?

 

太一はどうやら周防さんの真似をして、千早の枚数に合わせていたみたいですね。
自分には運は微笑まないから自力で勝ちに行く、と、スパートをかけます。

 

さて、ある意味勝負の行方より気になるカップリングの行方ですが、準決勝の組み合わせを見て新が頬を紅潮させたのはミスリードで、見下していた太一の名前があることを嬉しく思った自分自身が嬉しかったからでした。

 

一方千早は、新が決勝に進んだことを知った時、「目の奥が 水を飲んだみたいだ」と、水のイメージとともに新を想います。
この水のイメージって何なんでしょうね?
千早はずっと太一のことが好きだったんだけど、新に告られて自分の気持ちがわからなくなってしまっている、というのが私の解釈なのですが、末次先生的には新とくっつけようとしているみたいですよね。。。