一行書評

様々な本のエッセンスを、ずばり一行でまとめています。

ハリー・ポッターと呪いの子

一行書評 

【ハリポタ本編のキーパーソンはやっぱりネビルだった】

 

ハリー・ポッターと呪いの子」読み終わりました。
ネタバレしますので、ご注意ください。

まず、戯曲形式だったのに驚きました。
ロンドンで、2016年7月30日から上演されている舞台の台本なんですね。
セリフとト書きだけの構成なので、慣れない方には読みにくいかと思います。

アルバス パパ……

アルバスが父親のローブを引っぱる。ハリーが息子を見下ろす。

     あのね——もしも僕が——もしもスリザリンに入れられたら……。
ハリー  そうなったら悪いかい?
アルバス スリザリンは蛇の寮だ。闇の魔術の…勇敢な魔法使いの寮じゃない。
ハリー  アルバス・セブルス、おまえはホグワーツの二人の校長先生の名前をもらった。
     一人はスリザリン出身だが、父さんが知っている中で、おそらく一番勇敢な人だった。

ハリー・ポッターシリーズのラストの部分で、今回のお話の冒頭の部分でもありますが、
このような形式で書かれています。

私はアガサ・クリスティの「ねずみとり」などの戯曲でこういった形式に慣れているのですが、
読みなれていない方は登場人物への感情移入が難しいかもしれません。

さて、ほとんどの方の予想通り、アルバスはスリザリンに組み分けられます。
そして、上記の場面ではドラコ・マルフォイもホグワーツ特急に乗り込む子供の見送りに
来ていたことからも推測できるように、ドラコの子供も登場し、そして予想通り二人は友達になります。

そう、「ハリー・ポッターと呪いの子」はハリーとドラコの子供たちが主人公のお話なのです。
この二人が事件を起こしてしまい、トラブルを収めようと奔走するのですが、その過程で
いくつものパラレルワールドが作られてしまい、様々な if が現実になってしまうのですが、
それが私のような本編ファンにはとてもたまらない内容なのです。

思いつくままに列挙してみますと…

・スネイプ先生が生き残る世界!
・ロンとハーマイオニーが結婚しない世界
 ver.1 ロンが他の女性と結婚
 ver.2 ロンもハーマイオニーも結婚していない
・ヴォルデモートとの戦いで、ネビルが勝敗を分ける要であったことが判明!

そうそう、タイトルの「呪いの子」ですが、旧作の終わり方から考えると、
1.「19年間ハリーの額の傷は痛まなかった」という書き方からして、
  ヴォルデモートの一部はハリーの中に生き続けていて、
  とりあえず19年間は眠ったままである。
2.「呪いの子」というタイトルからして、ハリーの中のヴォルデモートが、
  ハリーの二男(アルバス)にも引き継がれた?
3.アルバスの中のヴォルデモート覚醒!

という流れを想像していたのですが、アルバスは「呪いの子」ではなかったというのが私の解釈です。
まあ、彼は生まれ、というより偉大すぎる親を持った自分自身を呪ってはいたようですが。

 

 二行書評 〜もう1行付け加えるなら〜

【マルフォイ親子が恋愛に対して一途すぎるw】

個人的に一番ツボだったのが、ここw
マルフォイ親子が恋愛に対して一途すぎるw

本作の主人公の一人、スコーピウスは、ロンとハーマイオニーの娘、
ローズに片思いをしていて、ローズに嫌われようと、めげずにアタックし続けます。

ドラコも、アストリアという女性と結婚します。
アストリアは、旧作での記憶がないのですが、どうやら同級生の妹だったらしいですね。

アストリアは血の呪いで身体が弱かったのですが、ドラコはそれを承知で彼女と結婚します。

あの、純潔の血筋を何よりも誇りに思っていたドラコが、
「マルフォイ家の血筋が絶えても構わない」とまで言い切るのです!

アストリアもまたドラコを深く愛しており、ドラコのために息子を生み、
数年後に亡くなります。

しかしアストリアは——マルフォイ家の家名とか、純潔とか、
栄光のために子どもが欲しかったのではない。

アストリアは、初めから、長くは生きられないと知っていた。
自分がいなくなったあと、誰かが私のそばにいることを願った。
なぜなら……ドラコ・マルフォイであることは、たとえようもなく孤独なのだ。

ドラコ、いいやつ過ぎる!
他の場面では、ハリー相手に苦手な世間話をするシーンもあり、そこで彼は
クィディッチの選手になりたかったこと、しかし実際には下手であったこと、
彼自身はずっと幸せになることを望んでいたことを話すのです。

旧作ではアンチヒーロー一辺倒だった彼の、思いがけない情熱、
思いがけないささやかな望みが明らかになります。

旧作は、読了するとスネイプの愛の物語であることが明らかになりますが、
こうした描写は、ローリングさん、うまいですよねー