一行書評

様々な本のエッセンスを、ずばり一行でまとめています。

ちはやふる 40巻

一行書評

〜ヒーローの成長物語が始まる…か?〜

 

どうも新というキャラクターが今ひとつ掴みきれていませんでした。

 

以前書きましたが、新の両親があんなにいい人で働き者そうなのに家が貧乏なこととか、新は性格に問題がなさそうなのに学校で友達が少ない設定とか。

新は、性格に問題がなさそうどころか、困っているお年寄りに積極的に手を貸すなど、むしろ好青年です。
かるたの先輩はもちろん、後輩にも慕われています。


しかし、言葉の違いでいじめられた小学生時代ならともかく、故郷に戻っても、友達が少ないのは何故なのでしょう?

 

40巻で、その理由の一端が見えた気がしました。

 

新は小学生の頃、千早と太一の通う小学校に転校してきました。
太一は新をサッカーに誘いますが、運動が苦手な新は断ります。
方言のこともあり、新は学校でいじめられるようになります。

 

おれがサッカーやってもよかったんや
おれがもうすこし器用で 球技も得意やったら
サッカーしとったんや 太一と
なのに太一はかるたしてくれた
ほかのなんでも おれよりできたのに

 

いやいやいやいや新さん、あなた何にも反省してないでしょ。

 

太一は、特に耳がいいわけでもないし、百人一首に興味があったわけでも、暗記していたわけでもなかった。
それでもかるたを始めました。
新は運動が苦手だからと自分に言い訳をし、サッカーに加わろうとさえしませんでした。

新は運動が苦手で、サッカーでチームメイトに迷惑をかけた苦い思い出がありました。
でも、どこかに「かるたでは誰にも負けない。俺にはかるたさえあればいい。」と思ってはいなかったでしょうか?


「●●さえあればいい」は、「他には何もいらない」という思いにつながります。
思いは、不思議なことに何も言わなくても周りの人に伝わります。
「かるたの他には何もいらない」という思いが伝わり、学校では友達ができなかったのではないでしょうか?

 

ちはやふるでは、千早も太一も人間関係で苦しみ、悩み、もがいてきました。
進路でも、医学部合格を目指す太一はもちろん、千早も先生になるという目標を見つけ、隙間時間に勉強をしています。


新一人、おじいさんが亡くなったくらいで、人間関係でも大した葛藤もなく、進学でも推薦であっさり決めています。
かるたの名人を目指してはいますが、詩暢ちゃんみたいにプロになろうとしているわけでもありません。


孤独だった詩暢ちゃんも、かるたのプロになろうと、YouTubeにさえ手を出します。
自分のことしか考えていなかった詩暢ちゃんは、今や2人目以降の人のために、まずは自分がかるたで身を立てていこうとしています。

 

新以外の登場人物は皆、様々な葛藤や人間関係に苦しみ、成長していますが、新だけが葛藤も、苦しみも、成長もないのです。

 

ヒーローポジションとして、これはあり得ないことです。
41巻以降、新の成長物語が始まると思うのですが、、、どうでしょうね?