一行書評

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進撃の巨人 第114話 唯一の救い【ネタバレ・考察】

一行書評
ジークは絶望を語り、エレンは希望を語る〜

 

ジークが何をしたいのか、ようやく明らかになりました。
そして、ジークとエレンの目的は異なり、エレンはジークを利用ようとしていると、私は考えます。

 

進撃の巨人は、様々な視点から物語が紡がれていきます。
最初はエレンたち壁内人類の目線で。
そして壁外人類⇒ライナー⇒グリシャと来て、ついにラスボス(?)ジークからの視点にたどり着きました。

 

最後に残った謎の人物。
ジークが両親を告発し、グリシャとダイナが連れ去られる時、ジークの傍らには祖父母の他に、もう一人中年の男性がいました。
成人したジークは、彼のメガネをかけていることから、その人物が今は亡くなっていること、ジークとは特別なつながりがあることが示唆されていました。
単なる叔父などの血縁であれば、ここまで引っ張ることはしないでしょう。
この引っ張り方はユミルを彷彿とさせますね。
はたして彼は、先代の獣の巨人でした。

 

「マーレの戦士」となるべく訓練を受けるジークは、劣等生でした。
ライナーはやる気は人一倍あるのに身体能力が不足していましたが、ジークの場合はそこまでの気概がありませんでした。
両親の喜ぶ顔が見たくて頑張ってはいるものの、戦士となって人を殺したくなく、どうしても他の子供たちのようにがむしゃらに頑張れないのです。

 

訓練が早く終わり、父親と遊びたくて急いで帰ってきた日も、グリシャはエルディア人の歴史を教えます。
それでも父親に褒められて嬉しそうな顔をするジーク。
子供は健気ですね。

 

ふとしたことから、ジークは自身がエルディア復権派の期待を一身に受けていることを知ります。
何としても戦士候補に残らなければならないと思うジークは、公開訓練に選ばれなかったにも関わらず、マガトに頼み込み、参加させてもらいます。
初めて両親の前で訓練を行うジーク。
しかし根性でどうにかなるものではありません。
一人大幅に遅れをとるジークを見て、グリシャは落胆のあまり立ち去ってしまいます。
ジークの部屋の前で落胆を口にするグリシャ。
何だかジークが可哀想になってきます。

 

そんな時ジークは、獣の巨人の継承者、トム・クサヴァーに出会い、キャッチボールを通じで親しくなります。
クサヴァーは、ジークが巨人になって人を殺したくないと考えていることを見抜きます。


余談ですが、ここで諌山先生のミスを発見!
クサヴァーは巨人になると寿命が縮まることをジークに語っていますが、グリシャはそのことを知らなかったはずです。
もっとも、クサヴァーは巨人学者ですので一般人が知らないことを知っていたのかもしれませんし、ジークも両親に話さなかったのかもしれません。

 

戦士になることを諦め、一市民として生きていくことを決めたジーク。
しかし、エルディア復権派が当局にマークされ、検挙目前であることを知ります。
勇気を出して両親に活動をやめてほしいと訴えるも、取り合ってくれません。

 

自分は「楽園送り」になり、永遠に巨人として彷徨うのだ…
ジークはクサヴァーに打ち明けます。
クサヴァーは、ジークを助けるため、両親を告発することを提案します。
ジーク自身を愛さなかった両親。
グリシャが自由を求めた代償は、ダイナたち同胞が支払いました。
ジークが自由を求めた代償は、グリシャとダイナが支払ったのです。

 

数年後、死期が迫ったクサヴァーは、巨人研究の一端をジークに語ります。
始祖の巨人はユミルの民の体の構造さえも変えてしまうことができる。
実際に600年前、猛威を振るった病気からユミルの民を守るため、体の設計図を書き換えてしまったのだとか。
いわゆる遺伝子組み換えのような技術でしょうか。

 

その話を聞いたジークは呟きます。

 

「始祖の巨人」の力を使えば、「ユミルの民」から子供ができなくすることもできるかな?

 

私はずっと、死期の迫ったジークが、自分にまとわりついている王家と巨人の運命を呪い、エルディア人、もしくはマーレ、もしくは全人類を道連れにしたいのかと思っていました。
が、ジークの願いはエルディア人全体の緩やかな安楽死でした。
存在するだけで世界の人々を巨人の恐怖に陥れるエルディア人を世界から根絶し、呪われたエルディア人も、恐怖に怯えるその他の人々も同時に救う計画。

 

ここが、エレンとの絶対の違いです。

エレンは突然の巨人の襲来により、目の前で母親を殺され、「駆逐してやる!!」と叫びます。
巨人に襲われる被害者の立場だった壁内人類。
しかし、地下室でグリシャの手記を読み、マーレに潜伏したことで、壁外人類も壁内人類も同じ人間であることに気づきます。
そして、自分こそが「世界を滅ぼしてしまうかもしれない悪者」(第100話 宣戦布告)であることも。
しかしエレンはそれでも「敵を駆逐するまで進み続ける」ことを選びます。
たとえその先が「さらなる地獄」であるかもしれなくても。(第97話 手から手へ)
エレンは自由の代償に、何を支払うのでしょうか?

 

手足を切られ、腹に雷槍をつきたてたジークは嘯きます。

 

俺は…救ってやったんだ
そいつらから生まれてくる子どもの命を…
この…残酷な世界から…

 

自分の行った殺人を正当化し、むしろ世の中のためになっているといった論法は、相模原障害者施設殺傷事件を彷彿とさせます。

ジークはラストで雷装のピンを引き抜き、自爆します。
飛び散るジークの四肢。
リヴァイも吹き飛ばされます。

29巻の予告では、覗き込むハンジさんと思しき人と、リヴァイを抱き上げる後ろ姿が描かれ、「そこにあったのはー 変わり果てた「最強」の姿」と、リヴァイの死を暗示しています。

 

…ですが、リヴァイは本当に死んだのでしょうか?

 

吹き飛ぶリヴァイをよーく見てみると、立体機動装置からガスが噴射されているように思えます。
反対方向に吹き飛んでいるジークの胴体と比べても、明らかに「動き」の表現とは異なります。
ジークがピンを抜く直前、リヴァイは”ゾク”と不穏を察知しているので、とっさにガスを噴射させ、爆風の衝撃を減じたのではないでしょうか?
リヴァイから血が飛び散っているように見えるので、最悪右手右足は失われているかもしれませんが、死んだと考えるのはまだ早計かもしれません。

 

また、ジークも死んだのでしょうか?
もう少しでエルディア人の安楽死が実現できるところまでこぎつけたジーク。
ここで死んでしまうと、巨人の力は無作為に赤ちゃんの元に宿ってしまいます。
今まで苦労して培ってきた計画が水泡に帰すような真似をするでしょうか?
胴体と、手足の一部が吹き飛んでいるのが確認できます。
もしかしたら、ライナー得意の脳転移で、胴体に意識を移し、死んだと見せかけて再生するつもりなのではないでしょうか?